チミたちはどう生きるか④
何もない朝に君を思い出すんだ
何もない僕が君に出来ること
ヨペル「なんなんですか?このお話は」
おじさん「これは、サヨナラ研究を元に私が考案、監修した新感覚コントだよ」
ヨペル「コントなんですか、面白いんですか?」
おじさん「面白いじゃないか」
ヨペル「うーん…どうなんでしょう」
おじさん「まあ、君の言いたいことも分からなくはないが、時代は進んでいるということさ。単に人を笑わせるためだけに作られた笑いは、楽しいかもしれないが面白くはない。ファニーではあるがインタレスティングではないんだよ。お笑いだけでなく、良くも悪くも消費されるだけの表現はどんどん生き残りづらい世の中になっている。だからこそ、人間が他の動物には持つことの許されなかったユーモアという知性を発揮し、これから自分たちはどう生きていけば良いのかを考えるための笑いが必要になってくると私は考えているんだ」
ヨペル「そうですか」
おじさん「そうなんです」
ヨペル「それを伝えるためにわざわざ未来からやってきたんですか?」
おじさん「それもあるが、私は今かなりスランプに陥っていてね、君と一緒にコントを考えてみたいと思ったんだ。君のアドバイスがほしい」
ヨペル「わろた」
おじさん「来ちゃった史については、どう感じた?」
ヨペル「まずオチが思いつかなかったんだなって思いましたよ。急にミュージカル調になって投げやり感が拭えません」
おじさん「するどいところを突いてくるね」
ヨペル「別にそれが悪いと言っているわけではないんですが、最後に2人が分かり合えたみたいにするなら、ちゃんと学生がフェミニズム的な気付きにたどり着く道筋を分かりやすく示さないと」
おじさん「うん」
ヨペル「コントを見た人が、自分がこれからどう生きていこうって思わず考えてしまうようなものを作りたいんでしょ?それならもっとしっかり構成を考えて、道筋を作らないと!それに説教臭いのも気になるなあ」
おじさん「ごめんね」
ヨペル「とりあえず、やりたいことは分かったから、次会う時までに面白いのを考えといてよ。また見てあげるから」
おじさん「ありがとう。なるべく早めに持っていく」
一週間後
おじさん「ヨペルくん」
ヨペル「やあ、おじさん。新しいコントはできたの?」
おじさん「ああ、来ちゃった史の反省を踏まえて考えてみたよ。感想を聞かせてほしい」
ヨペル「オーケー」
5分後
ヨペル「…こ、これは…!?」
チミたちはどう生きるか⑤へ続く