土曜日が好き

土曜日が好きなので

チミたちはどう生きるか①

hello my friend
君と僕なら永遠に 無敵さ
さようなら 美しき傷だらけの青春に


 家中の窓を閉め切ってしまえば、自分の声は自分以外聞くことはありませんし、自分が何かを考えたり思ったりしても、それが正しいことだとか間違ってることだとか判断してくれる人は自分しかいないわけです。

ですが、窓を開けたからと言って、
自分の声を聴こうとしている誰かがそこに居るわけではありませんから、
心の声を誰かに聴いてほしいだなんて、
無意識に願っていることに、 
自分が気づかないように、
今日も窓を閉めて、
外の景色をぼんやり眺めているのです。



ヨペル君は大学1年生です。


ほんとうの名前は吉田潤一、ヨペル君というのはあだ名です。年は18、今こそ青春を謳歌すべき時期であるのにも関わらず、1mmのキラキラも得ることができず、周りに置いて行かれてしまっている現状と、それを打開できないでいる自分自身に、彼はひどく頭をかかえています。


5月6日、晴れ


ベッドから起き上がり、時間を見ようと携帯を手に取ると、マッチングアプリから通知が来ていました。


「おっ」


アプリを開くと、昨晩いいね!した女性から、いいね!が返ってきており、そのうえ「今日の昼に会えませんか?」とお誘いのメッセージまで届いているではないですか。


「これはきている」


ヨペル君は「大丈夫です!」と即レスポンスして、相手からの返事を待ちました。そういえば、時計を見るのを忘れていたぞと思い出し、時間を確認すると11半を過ぎていました。


「やばいやばい、昼やん昼やん、すでに昼やん」


しばらくすると返事が来て、13時に梅田のカフェでお茶をすることになりました。どうにか間に合いそうだ。ほっと胸を撫で下ろしながら彼女のプロフィール写真を改めて見てみると、堀北真希似の顔立ちでショートボブの女性がこちらに笑みを向けています。ヨペル君の1番好きそうなタイプではありませんか。よかったね、ヨペル君。名前の欄には、Asuka🌷chan と書かれてありました。


ヨペル君は10分前にカフェに着きましたが、相手の女性はまだ来てませんでしたので、コーヒーを先に頼んで待つことにしました。


13時ちょうどになっても、Asuka🌷chanは現れません。Asuka🌷chanぽい子が入ってきたなと思っても、別の席にいるグループに合流したり、一人で本を読んだりしています。ヨペル君が、もしかしておれ騙されたか?と不安になってきたころに、一人の男性客がやってきました。男性は20代前半くらいで眼鏡をかけており、店内をキョロキョロ見渡しています。その視線がふいにヨペル君を捕らえたかと思うと、なんとその男性はヨペル君の座る席の方にぐんぐんと近づいて来たのです。


「え…?」


男性はヨペル君を見つめたまま、案の定ヨペル君の向かいに腰掛けてしまいました。そして、開口一番にこう言いました。


「君がヨペル君だね、会いたかったよ」


「いや、だれですか?Asuka🌷chanさんじゃないですよね」


すると、男性はすまなそうな顔をしながら、数秒の沈黙の後、ぎこちなく話し始めました。


「…騙してしまって、申し訳ないが、僕はAsuka🌷chanではないんだ。信じてもらえるか、分からないけれど、実は、僕は未来からやってきた君なんだよ。」



「なんだってぇ〜〜〜❗️」






第二話へ、つづく